黒酢と米酢はどう違う?

黒酢と米酢の違い

黒酢と米酢の違い

黒酢と米酢の違いをご紹介いたします。

食酢は穀類や果実、野菜などの原料を酢酸発酵させて製造した醸造酢と呼ばれるもので、原料として米、大麦などの穀類を使用したものが穀物酢、果実を使用したものが果実酢と呼びます。

黒酢も米酢も穀物酢に分類され、米を原料とするという点では同じ酢のように思えますが、実際は別物。

農林水産省が定めた黒酢の定義では、「穀物酢のうち、原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精白したものを除く。以下この文において同じ。)又はこれに小麦若しくは大麦を加えたもののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上あって、かつ、発酵及び熟成によって褐色又は黒褐色に着色したものをいう」 と定められていますが、黒酢と米酢の違いは原材料と製法になります。

原料の違い 〜精米と玄米〜

日本酒と同じ製造工程を経る米酢は「精米した米」が使われます。
一方、鹿児島の黒酢の原料には「玄米」が使われるのが一般的で、そのため黒酢のことを「玄米黒酢」とも呼びます。 玄米とはお米から籾殻(もみがら)だけを取った状態のお米のことをいい、精米されたお米よりも栄養価が高いといわれています。

管理体制の違い
〜生産設備とかめ壺仕込み〜

一般的な米酢の製造法ですが、蒸した精米に米麹と水を加え、糖化もろみを造り、それに酵母を加えてお酒を造ります。
そのお酒に「種酢」を混ぜ合わせて加温し、発酵槽に入れて食酢菌膜を植えることで酢酸発酵がすすみ、2週間ほどで食酢ができあがります。この状態では刺激臭が強く使用できませんので、1〜2ヶ月間熟成させて味を整えます。

かめ壺仕込み

一方、黒酢の製造法は、かめ壺仕込み。黒酢造りでは米酢の5倍の量の玄米を使います。その玄米を蒸して、麹と水と一緒に露天に置かれたかめ壺に仕込みます。その後、1年以上かけて壺の中だけで自然にゆっくりと糖化、アルコール発酵、酢酸発酵がすすみます。

そして、この熟成期間が長ければ長いほど、黒酢の色はより琥珀色が濃くなり、また風味もまろやかでコクのあるものになります。

米酢は温度・湿度が管理されたステンレスタンク設備で大量生産されるのに対し、黒酢は気温や湿度、天候など様々な自然の影響を受ける屋外に置かれたかめ壺だけで製造しますので、職人の技術と手間暇・忍耐が必要になります。